国際刑事裁判所規程第28条にみる上官責任の考察

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日本が国際刑事裁判所規程の当事国となって以来、日本で取り上げられることがほとんどなかった上官責任の法理を主要テーマとした数少ない著作です。国際刑事裁判所規程28条の特質や問題点を明らかにすることで、被告となった日本人にとって防御の資となるよう書き上げた一冊です。

永福 誠也 著
A5判 上製本 全432ページ
定価 4500円+税
ISBN978-4-905285-99-1


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―目次―

序章 問題の所在とねらい
1 国際刑事裁判所規程への日本加入とこれに伴う問題点
2 本書のねらい

第1章 上官責任概念の嚆矢
1.1 アメリカ軍事委員会の判例:山下奉文大将に対する判決
  1.1.1 裁判機関の特質
  1.1.2 事件の概要
  1.1.3 判決
  1.1.4 分析評価
1.2 ニュルンベルク国際軍事裁判所の判決
  1.2.1 裁判機関の特質及び裁判の概要
  1.2.2 判決及び評価
1.3 ニュルンベルク軍事裁判所の判例
  1.3.1 裁判機関の特質
  1.3.2 人質事件判決
    1.3.2.1 事件の概要
    1.3.2.2 判決
    1.3.2.3 分析評価
  1.3.3 最高司令部事件判決
    1.3.3.1 事件の背景(ドイツの軍事制度)
    1.3.3.2 事件の概要
    1.3.3.3 判決
    1.3.3.4 分析評価
  1.3.4 両判決の総括的評価
  1.4.1 裁判機関の特質及び裁判の概要
  1.4.2 判決
  1.4.3 分析評価
1.5 連合国最高司令官設置軍事裁判所の判例:豊田副武大将に対する判決
  1.5.1 裁判機関の特質
  1.5.2 事件の概要
  1.5.3 判決
  1.5.4 分析評価
1.6 まとめ

第2章 上官責任概念の実定化
2.1 条約等
  2.1.1 第1追加議定書86条2項及び87条
    2.1.1.1 責任の主体
    2.1.1.2 前提条件
    2.1.1.3 作為義務の内容
    2.1.1.4 主観的要件
    2.1.1.5 特徴及び留意点
  2.1.2 ICTY規程7条3項及びICTR規程6条3項
    2.1.2.1 責任の主体
    2.1.2.2 前提条件
    2.1.2.3 作為義務の内容
    2.1.2.4 主観的要件
    2.1.2.5 特徴及び留意点
  2.1.3 人類の平和と安全に対する犯罪の法典草案12・6条
    2.1.3.1 責任の主体
    2.1.3.2 前提条件
    2.1.3.3 作為義務の内容
    2.1.3.4 主観的要件
    2.1.3.5 特徴及び留意点
  2.1.4 その他
    2.1.4.1 東チモール特別法廷に関する規則16節
    2.1.4.2 シエラレオネ特別裁判所規程6条3項
    2.1.4.3 カンボジア特別法廷の設置に関する法29条
    2.1.4.4 レバノン特別法廷規程3条2項
2.2 非締約国における実行例
  2.2.1 アメリカ:ミライ事件判決と陸軍法規資料
    2.2.1.1 ミライ事件判決
    2.2.1.2 陸軍法規資料
    2.2.1.3 総括的評価
  2.2.2 イスラエル:カーン報告
    2.2.2.1 事件の概要
    2.2.2.2 カーン報告及びその評価
2.3 まとめ

第3章 国際刑事裁判所規程28条にみる上官責任
3.1 処罰要件の構造
  3.1.1 (a)(「軍の指揮官」等に関する規定)及び(b)(「軍の指揮官以外の上官」に関する規定)
  3.1.2 処罰の基盤的要件
  3.1.3 細部要件①:主観的要件
  3.1.4 細部要件②:作為義務違反
  3.1.5 細部要件③:軍隊指揮官以外の上官に追加される要件
3.2 処罰要件の細部
  3.2.1 責任の主体
    3.2.1.1 軍の指揮官及び実質的に軍の指揮官として行動する者
    3.2.1.2 軍の指揮官以外の上官(文民上官)
  3.2.2 基盤的要件
    3.2.2.1 「実質的な指揮及び統制」と「実質的な権限及び統制」
    3.2.2.2 「統制を適切に行わなかった結果」隷下軍隊又は部下が犯罪を行ったこと
    3.2.2.3 隷下軍隊又は部下が「犯罪を行ったこと」
  3.2.3 処罰対象となる不作為
    3.2.3.1 「防止」及び「鎮圧」
    3.2.3.2 「事案の付託」
    3.2.3.3 権限内のすべての必要かつ合理的措置
  3.2.4 主観的要件
    3.2.4.1 主観的要件に関する原則及び28条と30条の関係
    3.2.4.2 「知っていた」
    3.2.4.3 「知っているべきであった」
    3.2.4.4 「情報を意識的に無視した」
    3.2.4.5 認識の対象が「犯罪を行っていること又は行おうとしていること」
  3.2.5 文民上官のみに適用される特別な要件
3.3 処罰要件の特質
  3.3.1 処罰要件の区分
  3.3.2 不作為の処罰
  3.3.3 責任の性質
    3.3.3.1 従属性
    3.3.3.2 固有性
    3.3.3.3 融合性
  3.3.4 処罰の理論的根拠
  3.3.5 保護法益及び処罰の程度
  3.3.6 規定形式
  3.3.7 侵略犯罪等との関係
3.4 まとめ:国際刑事裁判所規程28条の問題点及び留意点

第4章 国際刑事裁判所規程28条に係る諸外国の法律の例
4.1 コモン・ロー諸国
  4.1.1 カナダ
  4.1.2 ニュージーランド
  4.1.3 イギリス
  4.1.4 オーストラリア
4.2 ドイツ
  4.2.1 総論
  4.2.2 責任の主体
  4.2.3 基盤的要件
  4.2.4 処罰対象となる不作為の範囲
  4.2.5 認識の対象
  4.2.6 責任の範囲
  4.2.7 処罰の理論的根拠及び程度等
4.3 スイス
  4.3.1 総論
  4.3.2 責任の主体
  4.3.3 基盤的要件
  4.3.4 処罰対象となる不作為の範囲
  4.3.5 認識の対象
  4.3.6 責任の範囲
  4.3.7 処罰の理論的根拠及び程度等
4.4 オランダ
  4.4.1 総論
  4.4.2 責任の主体
  4.4.3 基盤的要件
  4.4.4 処罰対象となる不作為の範囲
  4.4.5 認識の対象
  4.4.6 責任の範囲
  4.4.7 処罰の理論的根拠及び程度等
4.5 フランス
  4.5.1 総論
  4.5.2 責任の主体
  4.5.3 基盤的要件
  4.5.4 処罰対象となる不作為の範囲
  4.5.5 認識の対象
  4.5.6 責任の範囲
  4.5.7 処罰の理論的根拠及び程度等
4.6 各国の法律の細部要件ごとの比較検討
  4.6.1 責任の主体
  4.6.2 基盤的要件
  4.6.3 処罰対象となる不作為の範囲
  4.6.4 認識の対象
  4.6.5 責任の範囲
  4.6.6 処罰の理論的根拠及び程度等
4.7 まとめ

結語

補論 国際刑事裁判所規程28条にみる上官責任の国内法への反映
1 ICC規程28条に関連又は類似する概念及び問題
1.1 身分犯
1.2 不作為犯
1.3 従属性
1.4 主観的要素
  1.4.1 「知っていた」場合に相当する日本の刑法理論上の主観的要素
  1.4.2 「知っているべきであった」場合に相当する日本の刑法理論上の主観的要素
1.5 不作為による幇助
1.6 過失の共犯:故意正犯に対する過失共犯
1.7 (狭義の)監督過失
1.8 作為義務の発生根拠と作為義務不履行時の処罰根拠
2 現行法上の処罰可能類型
3 現行法上の処罰不能類型
4 国内法に反映させる場合の留意点及び考慮事項
4.1 ICC規程28条の直接的用
4.2 責任の主体
4.3 前提条件:適切な統制の怠慢という要件の取り扱い
4.4 処罰対象とする不作為
4.5 認識の対象
4.6 責任の範囲
  4.6.1 上官責任の範囲
  4.6.2 責任の区分の相違
  4.6.3 文民上官の過失責任
  4.6.4 付託の怠慢に関する過失責任
4.7 保護法益及び処罰の程度
5 まとめ

資料

参考文献