大震災への備え
― 阪神・淡路大震災から二十年、東日本大震災から四年、
大震災対処はどのように変わったのか ―
松島 悠佐 著
A5判 全144ページ
定価:1,430円(本体1,300円+税10%)
ISBN978-4-905285-44-1
『災害対処というと、現下の「災害対策基本法」では地方自治体の首長の責任になっており、第一意義的には市町村において災害対策本部を設置して対応するのが基本となっている。
だが、これから起きると予測される大震災は、「首都直下地震」、「南海トラフ地震」、あるいは「原子力災害」など、国家が総力を挙げて対応しないと処理できないような災害であり、言わばいずれも国家緊急事態である。
東日本大震災、原発災害が残した大きな教訓は、大規模災害では国家緊急事態であるという認識を持ち、国を挙げて対応することが必要だということを教えている。
そのような視点から、これまでの教訓を踏まえて国家として大震災にどう備えるかを考えてみたい。』(松島 悠佐 「はじめに」より)
【目次】
Ⅰ 予想される大震災
1 被害想定と対策の全般的な見直し
2 首都直下地震
(1)災害の規模と被害想定
(2)法整備と災害対策
3 南海トラフ地震
(1)災害の規模と被害想定
(2)法整備と災害対策
4 その他の大規模災害
(1)大規模水害対策
(2)大規模土砂災害対策
Ⅱ 大震災に備える三本の柱
1 国家総力の結集
(1)司令塔の強化
ア 国の司令塔のあり方、災害対策本
部の設置
イ 即応体制の改善
ウ 地方の司令塔
エ 自衛隊の指揮組織の活用
(2)情報・通信連絡体制の強化
ア 情報収集体制
イ 通信連絡体制
(3)総合的施策
ア 交通麻痺・大渋滞への対応
イ 物流の確保
ウ 広域医療体制
エ 避難所の開設運営・被災者の救援
オ 航空輸送・航空管制および航路啓
開に向けた取組
(4)各機関の相互協力・協同連携
ア 地方公共団体相互の協力
イ 警察の広域援助
ウ 消防の広域支援
2 自衛隊の活用
(1)動員力
ア 出動要請
イ 動員体制
ウ 動員勢力
(2)組織力
ア 司令塔
イ 多岐にわたる対処能力と自己完結
性
(3)活動の制約・限界
3 国民意識の高揚
(1)力を合せて乗り切る意識
(2)公助、共助、自助のバランス意識
Ⅲ 原子力災害への対応
1 原子力災害に対する認識
2 安全確保に関する法的・制度的施策
(1) 予防措置に関する義務
(2) 緊急事態の対処についての義務
(3) 事後対策
3 原子力災害に対する自衛隊の対応
(1)「原子力災害派遣」
(2)救援の限界性
4 原子力災害対処の現況と今後の課題