憲法関係答弁例集(第9条・憲法解釈関係) 平成28年9月内閣法制局 解説 駒澤大学名誉教授・西修

表紙写真カラー2.jpg

内閣法制局の執務資料を情報公開請求を通じて入手!


内容編者 内閣法制局
解説著者 駒澤大学名誉教授・西 修
ISBN 978-4-905285-71-7
A5判 全608ページ
定価:3,080 円(本体2,800 円+税10%)

オンラインショップで購入
 

全ての憲法論議に関心のある方へ!
9条・憲法について『内閣法制局』が制作した執務資料をそのままの形で掲載!
合憲違憲改憲護憲すべての論者必携です。今後の議論は本書内容の国会答弁を理解してから!
巻末には駒澤大学名誉教授・西修氏による憲法論議の争点整理などの解説つき

【編者 内閣法制局】
内閣法制局は、法制的な面から内閣を直接補佐する機関として置かれており、閣議に付される法律案、法令案及び条約案の審査や法令の解釈などの任務にあたっている機関です。
平成27年9月に成立した平和安全法制に際して政府の憲法解釈・国会答弁を論点ごとに整理し、18項目A4判549ページの冊子を執務資料に作成、行政文書としています。
この文書は集団的自衛権の行使を限定容認した政府の新たな憲法解釈、従来解釈との整合性を保たれている事、時代の節目節目になされてきた政府解釈をテーマごとにまとめられているものです。
(※注意)本書の公刊にあたって、内閣法制局は出版に関知しておりません。弊社が内閣法制局に行政文書の開示請求により複写物を得て、底本のまま製版したものです。


【著者 西 修(にし・おさむ)】
1940 年(昭和15)富山市生まれ。
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院政治学研究科(憲法、比較憲法専修)修士課程、同博士課程修了
駒澤大学法学部教授を経て、2011 年より駒澤大学名誉教授 政治学博士、法学博士 第一次・第二次安倍内閣安保法制懇委員、防衛法学会名誉理事長(前理事長)、比較憲法学会名誉理事(元理事長)など。
主要著書として、『日本国憲法成立過程の研究』(成文堂、2004 年)、『現代世界の憲法動向』(成文堂、2011 年)、『図説日本国憲法の誕生』(河出書房新社、2012 年)、『憲法改正の論点』(文春新書、2013年)、『いちばんよくわかる!憲法第9条』(海竜社、2015 年)、『世界の憲法を知ろう』(海竜社、2016 年)、『我が国防衛法制の半世紀』(共著、内外出版、2004 年)ほか多数


【目次】
1  憲法第9条と自衛権(自衛隊の合憲性)
  1―A 自衛隊の軍隊性
  1―B 憲法第9条第2項の「前項の目的を達するため」の意味
2  武力の行使
    ① 武力の行使の定義等に関する答弁
    ② 国家に準ずる組織に関する答弁
3  武力の行使の三要件
    ① 旧自衛権発動の三要件
    ② 武力の行使の三要件
  [1] 第一要件
  (イ) 我が国に対する武力攻撃が発生した場合
    3-A 「我が国に対する武力攻撃」の意味
    3-B 「我が国に対する武力攻撃」の発生時点
      ① 一般的な考え方に関する答弁
      ② 弾道ミサイルによる我が国に対する武力攻撃の発生に関する答弁
      ③ 来援米艦への攻撃が我が国に対する武力攻撃の着手に当たる場合に関する答弁
  (ロ) 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
    3-C 「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」の意味
      ① 我が国と密接な関係にある他国に関する答弁
      ② 他国に対する武力攻撃に関する答弁
    3 -D 「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」の意味(存立危機事態)
      ① 存立危機事態とその判断に関する答弁
      ② 存立危機事態と武力攻撃事態等との関係に関する答弁
      ③ 事例に関する答弁
        a 我が国に対するミサイル攻撃等に対処する米艦の事例
        b 邦人輸送中の米艦の事例
        c ホルムズ海峡における機雷の事例
  [2] 第二要件
    3 -E 「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと」の意味
  [3] 第三要件
    3-F 「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」の意味(他国の領域における武力の行使の可否を含む。)
      ① 第三要件の「必要最小限度」の意味に関する答弁
      ② 自衛行動の範囲(海外派兵の禁止等)に関する答弁
      ③ 例外的に他国の領域における武力の行使が許される場合に関する答弁
        a 誘導弾等の発射基地に対する攻撃
        b 他国の領域における機雷の掃海
    3-G 我が国有事の場合における自衛の措置としての船舶の防護等
      ① 共同対処米艦の防護に関する答弁
      ② シーレーン防衛に関する答弁
      ③ 我が国有事の場合の弾道ミサイル対処に関する答弁
4  憲法第9条の下で自衛のための「武力の行使」が許されるとする考え方
  4―A 平成26年7月1日の閣議決定
  4―B 集団的自衛権の行使は許されないとの従前の政府見解との関係
    ① 昭和47年の政府見解との関係
    ② 「必要最小限度」と数量的概念に関する答弁
    ③ その他の集団的自衛権の行使は認められないとした従前の国会答弁等との関係に関する答弁
  4―C 砂川事件最高裁判決
  4―D 平和主義
  4―E 専守防衛
5  「武力の行使」の憲法上の根拠(憲法解釈)と国際法上の根拠(違法性阻却事由)との関係
  5-A 国際法の遵守と集団的自衛権行使の国際法上の要件等
    ① 国際法の遵守と集団的自衛権行使の国際法上の要件に関する答弁
    ② いわゆる「先制攻撃」に関する答弁
6  集団的自衛権一般(いわゆるフルセットの集団的自衛権)
7  武力の行使に当たらない「武器の使用」等
  7-A 自己保存のための武器の使用
  7-B 自衛隊法第95条に規定する武器の使用(自衛隊の武器等の防護)
  7-C いわゆる「駆け付け警護」に伴う武器の使用及びいわゆる「安全確保業務」を行う際の武器の使用
  7-D 海賊行為への対処のための武器の使用
  7-E 自衛隊法第94条の5に規定する武器の使用(在外邦人等の保護措置)
  7-F 自衛隊法第95条の2に規定する武器の使用(合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護)
  7-G 自衛隊法第84条の2に基づく遺棄機雷等の除去(掃海)
  7-H 自衛隊法第82条の3に基づく弾道ミサイル等への対処
  7-I 警察権の限界
8  他国の武力の行使との一体化
  8-A 「現に戦闘行為が行われている現場」以外の場所における支援活動(一体化しない類型)
  8-B 米軍への情報提供
  8―C 戦闘作戦行動のための基地使用の応諾
9  憲法第9 条第2項の「戦力」の意味と自衛力の限界(自衛隊の保有し得る兵器)
  9―A 核保有(持込み)と憲法との関係
  9―B 自衛隊による原子力及び宇宙の利用
    ① 原子力関係
    ② 宇宙関係
  9―C 「近代戦争遂行能力」答弁の趣旨
  9―D 自衛隊が行う外国との共同訓練
10  交戦権
11  集団安全保障等と憲法
  11―A 国連憲章第42条及び第43条に規定する国連軍への参加
  11-B 国連平和維持活動(PKO)等への参加
  11―C 多国籍軍への参加等
12  有事法制
13  徴兵制度
14  シビリアンコントロール(文民統制)の趣旨
15  日米防衛協力のための指針(ガイドライン)
16  武器の輸出に対する規制
17  行政府の憲法解釈
18  憲法解釈の変更
  18-A 憲法第66条第2項の「文民」の解釈
  18-B 限定的な集団的自衛権の行使

参考用語集(50音順)
解説と若干の私見 (解説 駒澤大学名誉教授・西 修)
  1.公刊の意義
  2.内閣法制局と憲法解釈
  3.学説における政府解釈の位置づけ
  4.政府解釈の70 年
    (1) 帝国憲法の改正 -自衛権の所在-
    (2) 警察予備隊・海上警備隊の発足 -「戦力」論争の端緒-
    (3) 保安隊・警備隊の設置 -「戦力」の定義-
    (4) 自衛隊の創設 -「戦力」の再定義-
    (5) 日米安保条約の改定 -集団的自衛権の解釈をめぐって-
    (6) 国際平和協力法 -自衛隊の海外派遣-
    (7) 周辺事態安全確保法、テロ対策特別措置法、イラク人道復興支援特別措置法等
              -「非戦闘地域」「他国の武力行使との一体化」-
    (8) 有事法制 -「公共の福祉」-
    (9) 平和安全法制の整備 -限定的な集団的自衛権-
  5.政府解釈批判の検証
  6.政府解釈の根本的問題点
  7.今後の課題 -問われる国民の英知-
  関連主要条文等
    日本国憲法(第9条・第12条・第13条・第66条)
    国際連合憲章第51条
    憲法上、許容される自衛の措置としての武力の行使の新3要件(平成26年7月1日 閣議決定)
    砂川事件最高裁判所大法廷判決要旨(昭和34年12月16日)