究極の危機管理 ―実務者のための理論とマニュアル―

9784905285373.jpg

一般社団法人 日本安全保障・危機管理学会 編
ISBN978-4-905285-37-3
定価:1,760 円(本体1,600 円+税10%)

※完売しました。

「災害、事件による危機が発生した場合に個人の生命、財産が守られ、組織の存続が確保されるか否かは、関係者の当該危機に対する対応能力の有無に強く左右される。しかも最近では、広域複合型災害の発生、国際テロ、サイバー攻撃、新種伝染病の蔓延等、従来にない新たなタイプの危機の発生が見られ、これらに対応した総合的な危機管理能力の向上が強く求められるようになっている。
  本書はこうした危機管理をめぐる現在的な事情と要請に対応するため、国、地方自治体、企業、団体における危機管理のあり方を理論とともに実例を交えてわかりやすく解説したものである。現実的に各組織での危機管理能力の向上を図る上で、何よりも急がれるのは危機管理を行うことができる人材の育成である。このため本書では、危機管理に求められる能力や人材育成のあり方を詳細に提示している。また、現場での実用的な利用に資するため、各種危機に対応するマニュアルをできるだけ具体的に記述した。
  本書が危機管理に関する研修・教育の場で広く活用され、各組織で危機管理に携わる方々の座右の書として利用されることを願う次第である。」

【目次】

    第I部  危機管理総論

第1章  危機管理の基礎理論
はじめに
第1節  危機管理を学ぶことの意義
第2節  危機管理の概念
第3節  現代社会の危機を増幅させている諸要因
    1.科学技術の発達による光と影
    2.精神文明の未発達と科学技術
    3.国際化・グローバル化による危機の増幅
第4節  日本人及び日本社会の危機意識の低さの背景と問題点
    1.地理的要因
    2.民族的要因
    3.文化的要因

第2章  危機管理に求められる基本的な能力

はじめに
第1節  公的立場の認識と公的責任の自覚能力
    1.一般的に社会人個人にとっての公的立場とは何か
    2.企業の最高責任者としての公的立場とは何か
    3.国家の最高責任者としての公的立場とは何か
第2節  情報能力(情報関心能力、情報処理能力)
    1.意義
    2.我が国に情報機関はあるか
    3.情報とは何か
    4.情報の区分
    5.情報活動
第3節  原点に立脚した判断及び行動能力(本質直視能力)
    1.意義
    2.「本質を直視できる能力」の育成及び強化策
第4節  自己管理能力
    1.意義
    2.自己管理能力の育成・強化策
第5節  トラブルシューター(紛争調停者)としての能力
    1.トラブルシューターの役割
    2.トラブルシューターとしての能力の習得
第6節  危機察知能力・危機想定能力
    1.意義
    2.危機察知能力・危機想定能力の育成

第3章  危機管理に求められる共通事項
第1節  危機管理を的確に行うことができる組織の条件
第2節  危機管理における基本的心得
第3節  組織における具体的な危機管理態勢の立て方
    1.危機管理チームの設置がまず必要
    2.危機管理専任チームの業務
第4節  危機管理における指揮
    1.指揮の手順
    2.指揮のポイント(指揮の要訣)
    3.命令・指示
    4.実行の監督
第5節  危機管理における状況判断・計画作成・報告通報
    1.状況判断要領
    2.計画の策定要領
    3.報告・通報の要領
第6節  危機管理における情報活動・情報分析・情報見積の手法
    1.情報活動
    2.情報活動の注目点
    3.情報見積もりの手法
第7節  危機管理における図上訓練
    1.本当に危機管理を学んでいるのか
    2.図上訓練とはどのようなものか
    3.図上訓練の狙いと効果
    4.図上訓練の一例紹介
    5.図上訓練を実施した後の受講者の所見
第8節  裁判に勝つコンプライアンス
    1.知っておくべき司法制度
    2.危機管理士として知っておくべき民事上の知識
    3.裁判の負担
    4.ケーススタディ
第9節  危機広報
    1.現代の(日本)社会におけるマスコミの現状
    2.具体的なマスコミ対策の在り方
第節  情報セキュリティ
    1.情報(活動)の価値
    2.我が国を取りまく保全環境
    3.組織の保全を強化するための方策
    4.エージェント獲得の一般的な手口
    5.保全の要訣

第4章  危機管理に強い人材の育成
第1節  我が国における危機管理問題に関する認識及び対策に見ら
      れる特徴点
第2節  危機管理に強い人材の教育
    1.学校教育
    2.社会教育(家庭教育を含む)
    3.職場教育
第3節  自己練成のすすめ
    1.「公」に奉仕する、「公」に貢献する生き方
    2.自己の生活環境の整備、健康管理
    3.良好な人間関係の形成
    4.多くの知識の吸収、旺盛な好奇心、苦労を楽しむこと

    第II部  危機管理各論

第5章  大規模自然災害と危機管理―教訓と対策―
第1節  都市型災害(地震)と広域複合型災害(地震と津波)の
      特色
第2節  都市型災害としての阪神淡路大震災(地震)の特色と
      教訓
    1.阪神・淡路大震災の概況
    2.都市型災害としての阪神・淡路大震災の特色
    3.阪神・淡路大震災における初動対応
    4.阪神・淡路大震災の教訓  
第3節  広域複合型災害としての東日本大震災(地震と津波)の特
      色と教訓
    1.東日本大震災の概況
    2.広域複合型災害としての東日本大震災の特色
    3.東日本大震災における初動対応
    4.東日本大震災の教訓
第4節  大規模自然災害への対策
    1.大規模自然災害を踏まえた政府・自治体の災害対策
    2.大規模自然災害対策の重点
      コラム:災害における海上自衛隊の活動
      コラム:災害における航空自衛隊の活動
第5節  ゲリラ豪雨の特色、教訓と対策(豪雨発生時の状況判断)
    1.伊豆大島の土砂災害の概要
    2.降水量の結果に基づく状況判断は如何にあるべきだった
      のか
    3.目安を持って状況判断、強い意志で決心・実行すること
第6節  自治体等としての対策(主に初動対処)
    1.災害対策における自治体の役割
    2.自治体における防災・危機管理組織の類型
    3.都道府県における類型
    4.市町村における類型
    5.自治体の防災・危機管理部署への自衛隊OBの配置
      *大災害対処における自衛隊トップリーダーの経験談

第6章  企業における危機管理
第1節  事業継続計画(企業のBCP)
    1.企業の危機管理と事業継続計画
    2.事業継続計画(BCP)の概要
    3.BCP策定の手順
    4.BCP策定の参考となるガイドライン
    5.BCP策定状況
    6.BCPが成功した企業例の紹介
第2節  防犯(犯罪傾向の変化と対策)
    1.最近の防犯の主な特徴
    2.最近の犯罪への対処
第3節  民事介入暴力対策
    1.民事介入暴力とは何か
    2.民事介入暴力の事例
    3.危機管理としての平素の準備
第4節  管理者のためのメンタルヘルス
    1.自殺者とうつ病
    2.危機的状況に起因する心の問題
第5節  スキャンダル対策
    1.スキャンダル対策の意義
    2.スキャンダルの態様
    3.対策-スキャンダル発生の予防-
    4.スキャンダル暴露時の対応

第7章  事件・事故と危機管理
第1節  国際テロの脅威とわが国のテロ対策(東京オリンピック
      の治安を含む)
    1.国際テロの現況
    2.国外における我が国へのテロの脅威と対策
    3.我が国国内におけるテロの脅威と対策
        別紙:テロの未然防止対策の現状概要
第2節  サイバー攻撃対策
    1.サイバー技術に依存する社会の危険
    2.日本を取り巻く状況
    3.サイバー攻撃対策について
第3節  パンデミックインフルエンザ対策
    1.インフルエンザ、鳥インフルエンザおよびインフルエン
      ザとは
    2.パンデミックの拡大予想
    3.パンデミックの影響
    4.新型インフルエンザ対策
    5.企業の対策
第4節  核爆発等への対応
    1.近づきつつある核爆発
    2.核爆発の形態と被害
    3.個人の核爆発への対応
第5節  化学兵器・生物兵器への対応
    1.化学兵器(化学剤)への対応
    2.生物剤・生物兵器への対応
第6節  放射線の人体への影響とその対策
    1.環境放射線災害
    2.環境放射線防護対策
    3.放射線の怖がり方
    4.国家・自治体・企業が放射線危機管理について実施すべ
      き主要課題
第7節  突発事故の危機管理(日航機墜落事故救出の教訓)
    1.日航機墜落事故と救助活動の概況
    2.特定条件下での捜索・救出活動の特色と危機管理の教訓

第8章  危機管理における国家体制はどうあるべきか